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日本の難点 宮台真司著 [BOOK]

幻冬社、2009年4月発売。

今から10年以上前、僕が大学生のとき、宮台真司さんは、まさに時代の寵児、メディアが喜ぶ「新進気鋭の社会学者」だった。
「朝まで生テレビ」の論客だったし、女子高生の援助交際が社会問題になっていてワイドショーにもよく出ていた。
僕も「終わりなき日常を生きろ」、「世紀末の作法」あたりを一生懸命読んだ。
「これだけ批判を浴びながら、我が道を行く、すごい人だなあ」と思っていた。

そんな宮台さんも59年生まれ。今年50歳。
時の流れはあまりにも早い。
「日本の難点」を紹介する、新聞の大きな広告を見て、「相変わらず、自信満々な紹介の仕方をしているな」と思った。

ページ数が少ない割に、論点が非常に広範囲。
コミュニケーション論・メディア論、若者論・教育論、幸福論、米国論、日本論・・・
どう考えても、新書で書く論点数じゃないよなあ。
その上、学者等の名前や日常生活で普通使用されない用語の連発で、理解しやすいとは思えない。
「本書はこれ以上ありえないというほど、かみくだれて書かれています。」(p.285)
・・・う〜ん、そうかな。

宮台さんは、あくまで学者である。
評論家なら「自分はこう思う」ということをそのままストレートに書けるが、学者は、自分のよってたつ理論を、他の学者の引用をし、それに批判などを加えた上で、書くのが作法である。
そこは可能な限り最小限にし、簡単にまとめたつもりだろうし、致し方ないか。

さて、印象に残ったのは、以下の部分。
①「状況は男の子の方が、圧倒的に深刻です。女性と違って男性には同性同士の相互扶助ができません。老人ホームに行くとわかります。」(p.41)
←これ、そうなんですよ。子育てサロンに行っても、女性同士は一瞬で仲良くなるのです。ちょっとずれますが、せっかく男性は育児休暇をとっても、お母さん方の輪の中に入れなくて、あまりにも孤独という話です。
②「子どもをネットにアクセスさせないとかケータイに触れさせないなども緊急避難的には『あり』ですが、こうした対症療法では問題の本質にむしろ手付かずのままになります。問題の本質とは、対面コミュニケーションがネットコミュニケーションよりも脆弱なままでいいのかということです。」(p.61)
←これもおっしゃるとおり。ノーメディア運動を進めるのなら、その代替となる対面コミュニケーションを用意しないといけない。
③「ガリベン君が非ガリベン君にあっさり抜かれる残酷な光景・・・早期教育をやろうがやるまいが、『地アタマ』はさして変わりありません。」(p.89)
④「叩き上げで獲得した専門性こそが人材価値をもたらす時代だ。なのに教育界や親がいまだに『いい学校・いい会社・いい人生』である。・・・僕はこの事件(秋葉原殺傷事件)の背景は『格差社会が悪い問題』ではなく『誰かなんとか言ってやれよ問題』なのだと言い続けてきました。」(p.239)


日本の難点 (幻冬舎新書)

日本の難点 (幻冬舎新書)

  • 作者: 宮台 真司
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/04
  • メディア: 新書



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