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朝令暮改の発想 鈴木敏文著 [BOOK]

新潮社、2008年1月発売。

セブンイレブン、イトーヨーカドーを今の地位に押し上げた第一人者、鈴木敏文さんの本。
いろいろと印象的なことが書いてあり、付箋だらけになってしまった。

①「あるべき姿」を求めて絶えず、挑み続ける。それが絶対の追求です。(p.55)
②(経営者は、)「顧客のために」ではなく、「顧客の立場」で考えられることで、売り手側の勝手な思い込みや決めつけから抜け出すことができる。(p.61)
③誰もが初めは持っている純粋さをどこまで延ばし、成長させることができるか。これこそ経営におけるいちばんの真髄ではないかとわたしは思っています。(p,72)
④ものごとの本質とは、いわばゴルフクラブのスイートスポットのようなものです。そこにボールがあたれば、同じ力で最大限の飛距離が得られます。(p.76)
⑤いかに相手の自発性を引き出し、本来持っている潜在能力を活かせるか、こうした説得ができることが真のコミュニケーション能力といえるのではないでしょうか。(p.100)
⑥膨大な人数の顧客と日々向き合いながら実感する最大の特徴は、わがままで多くの矛盾を含んでいることです。(p.109)
⑦ビジネスの世界で挑戦するとは、まさに自分で仮説を立て、実行していくことであり、仮説を立てない人は仕事をする気がないのと同じであると肝に銘じるべきでしょう。(p.123)
⑧消費の最前線に立ち、ダイレクトに顧客と向き合っているわれわれから見ると、日本ほど「画一化」が進んだ国はありません。・・・ある時点でとらえると、特定の商品に人気が集中する画一化意外の何ものでもありません。・・・日本人の経済的、文化的な特性は、日本独特の画一的な消費パターンと無縁ではないと思われます。(p.131)
⑨いまは一気に売れ行きが立ち上がり、ピークに達したかと思うとすぐにピタッと売れなくなる「茶筒型」へと変わっています。
⑩マスコミはよく、コンビニが次々と店頭の商品を短期間で入れ替えるため、商品の短命化をもたらしている元凶であるかのようなとりあげ方をします。しかし、もしコンビニが商品のライフサイクルの決定権を持ち、次から次へと売れ筋商品をつくることができるなら、これほど楽な商売はないでしょう。実態はその反対で、コンビニは画一化と茶筒化が進む顧客ニーズの変化に歩調を合わせ、売れ行きが落ちて死に筋となった商品はすぐに店頭から排除し、新しい売れ筋を一気に投入しないと経営そのものが成り立ちません。(p.134)
⑪一歩踏み込んで挑戦すれば、当然、リスクをともないます。しかし、爆発点はリスクの向こうにあることを忘れるべきではありません。(p.142)
⑫本当に人を増やせば、よい仕事ができるのでしょうか。その前に考えるべきは、なぜ仕事量が多くなってしまうのかという根本的な問題ではないでしょうか。・・・もし、仕事量が多くて大変ならば、今の仕事のやり方を前提にしたまま、増員を求めるのではなく、その前に仕事のやり方そのものを根本から変えさせ、無駄をなくし、本質的に必要な仕事だけに絞り込んで生産性を高めていくことです。とかくありがちなのは、「仕事が忙しいのは人が少ないせいだ」「人が仕事を押し付けるせいだ」などとグチをいいながら、自らをかえりみようとしないことです。これではいつまでたっても問題は解決されず、一生忙しいまま仕事をすることになるでしょう。(p.171)
⑬新しい企画を発案したらすぐにトップマネジメントの判断を仰ぐべきで、その後で関連部門に対して情報の共有化を図ればすむ話です。新しい価値を生まない無駄なプロセスは極力排除すべきです。(p.175)

コンビニエンスストアという現代そのものの業態を作り出し、激烈な競争下で戦っている厳しさが伝わってくる内容だと思う。
無駄な手続きの排除(⑬)は全くその通りだと思うし、人の力を引き出すコミュニケーション力(⑤)は全くEQの「共鳴」と同じ考え方であり、僕自身の考え方にもピタッと合う。
ただ、正直共感できない部分が多々ある。たとえば、④ゴルフのスウィートスポットは一見「レバレッジ・ポイント」のようだが、鈴木さんはあくまで売れるという意味で「本質」と言っているだけであり、それが社会にどのような影響を与えるかまでは、考えた意見には聞こえない。「レバレッジ・ポイント」は社会全体にどのような影響を考えるかであり、根本的に相いれない。
また、商品サイクルの話(⑩)にしても、セブンイレブンの24時間営業にしても、人の欲望に合わせすぎたために、少なくとも働く人のリズムを壊しているし、そういう欲望に合わせるのが企業や公共機関の役目という度が過ぎた消費者心理を生む一方、社会のために貢献したり、他人のために少しは我慢するという心理を減退させているのではないか。
人の配置(⑫)については、一流の人ならそういう態度を持った方が良いという意味では共感できる部分もあるが、付いていけず精神的に追い込まれる人を大量に生み出し、社会がゆがむ危険を感じる。
もっとワークライフバランスを重視した経営が望ましい。
正直、こんな合理性一辺倒かつどのような社会を目指すビジョンのない考え方で経営される会社では働きたくない。


朝令暮改の発想―仕事の壁を突破する95の直言

朝令暮改の発想―仕事の壁を突破する95の直言

  • 作者: 鈴木 敏文
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 単行本



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実践EQ 人と組織を生かす鉄則 リチャード・ボヤツィス、アニー・マッキー著 [BOOK]

田中健彦訳。
日本経済新聞社、2006年9月発売。

EQ(Emotional Intelligence Quotientの略)は「感情知能(心の知能指数)」とも呼ばれる開発可能な能力。
一般的に知られているIQ(Intelligence Quotient)に比べて後発で、日本では1996年にダニエル・ゴールマンの訳本が80万部売れて一気にメジャーになった。
僕自身、EQ本を読むのは10年以上ぶりだ。

この本は、優れたリーダーになるためには、どんなEQスキルが必要なのかということを中心に書かれている。
「リーダーにもっとも大切なのは、どんな知識があるかではなく、知識をいかに使うかという点だ。ここにEQが登場する。・・・自己認識と自己管理を育てれば、自己の強みをフルに活かして感情を管理し、それぞれの目標への情熱的なコミットメントを作り出すことができる。そのうえ、他人を理解できるようになれば、もっと効果的に一人ひとりをやる気にさせ、グループやチームや組織の文化を生み出すことが可能になる。」(p.46)

僕の理解したエッセンスは以下の通り。

①良いリーダーシップとは、他者を「共鳴」させ、それを持続拡大できること。
②困難な状況に陥った時、逃れようとするのではなく、「希望」を持って正面から取り組み、前向きな雰囲気を作り出す。
③他者と環境の状況について深く洞察し、その中で自分のすべきことを意識し、他者の感情と心を知り「思いやり」をもって接することで、他者を「共鳴」させる。
④自己犠牲と再生のサイクルを知り、完全にコントロールすることで、「共鳴」を維持させる。

訳者のあとがきに書いてあったが、ある程度の社会的立場にある人はたいてい他者を「共鳴」させられるが、そういう人でも多くの場合他者の「共鳴」状態を維持できない。
リーダー(管理職と言っても良い)としての成否は、いかに他者を「共鳴」させ、持続拡大できるかにかかっている。
小さなグループでは、「共鳴」の持続拡大ができたとしても、環境が変わったり、より責任を持つと話が変わる。
自分にストレスが強くかかり、他者を「共鳴」させることができなくなり、自分が抱え込んでしまってますますストレスをため込み、自己犠牲サイクルから脱出できなくなる。
こういう例は枚挙にいとまがない。

ストレス耐性がある人は「特別な遺伝形質や性格を備えているわけではなく、意識を傾注したり希望や思いやりをもつなどの内面活動に積極的にかかわることで、継続的に再生していることがわかっている。つまり、再生を生活の一部にしているから、大した努力が必要ない」(p.97)だそう。
他者や自分に対して「思いやり」を持つことを職場でも私生活でも取り入れるということができれば、最高だ。
これは心がけて見ようかな。

「希望」と「共鳴」と「思いやり」
と、まとめてみる。


実践EQ 人と組織を活かす鉄則―「共鳴」で高業績チームをつくる

実践EQ 人と組織を活かす鉄則―「共鳴」で高業績チームをつくる

  • 作者: リチャード ボヤツィス
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 単行本



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竹中平蔵、中国で日本経済を語る [BOOK]

大和書房、2008年5月発売。

竹中平蔵元総務大臣。
数年前まではずっと時の人だった。

竹中さんが中国の北京大学で特別講義をまとめたのが本書。
日本経済発展のメカニズム、バブル崩壊、郵政民営化、官僚、中国は日本の脅威かなどをきわめて明快にわかりやすくまとめている。
竹中さんは、サミュエル・スマイルズの自助論を地で行く経済学者であり、だからこそ、アメリカ・グローバル資本主義の手先だと批判も浴びてきた。
頑なに自分の理論を貫く学者魂を感じる。

経済学をきちんと学んだことがないため、基本的な解説が特に勉強になった。

①資本の生産性について
高度成長期の日本は、資本の生産性が高かった。100万円設備投資で、100万円の生産を生み出していた。GDP比で10%を設備投資が占めていたとして、成長率で10%近い寄与があった。
今の日本は、労働力と機械といった、生産に直結する直接的な設備投資ばかりだった時代と異なり、安全性、環境や福利厚生といった間接的な設備投資が大半を占めていて、資本の生産性が低い。GDP比で5%を純粋部分の設備投資があったとして、成長率で2%くらいの寄与しかなくなっている。(P.39~40)
先進国になるということは、非効率的な部分(価値観的には重要だが)に投資をしていくということであり、それが経済成長を鈍化させているんだな。

②ナイトの不確実性(p.58)
「これから先どうなるかわからないという不安があると、人は最悪のケースを想定して行動する。」
企業間取引における信用崩壊(ディスオーガニゼーション)で産業組織が崩壊するのとならんで、バブル崩壊後に日本で大きくはびこっていた。
不景気はいろいろなものを壊していく。

③銀行はなぜ「特別」か(p.75)
「銀行は『預金』という決済インフラを持つという意味で、特別な機関」
すなわち、給料、公共料金、クレジットカードの買い物料金の引き落としをするインフラが崩壊することは国民生活に直結するため、是が非でも守らなければならないということ。

④戦略的アジェンダ(p.137)
ボーリングのセンターピン。
ここに当てられるかどうかが政策が成功する鍵。
誰もが理解できて目に見える政策であり、かつ波及効果が期待されるもの。
レバレッジポイントとかなり近い考え方だと思う。
まず見つけられるかどうかが成功の分かれ道。
これは、マッキンゼーの成長戦略で触れた成長機会の把握がうまくいくかどうかが成功の最大の分かれ道というのとも同じ。

⑤日銀のマネーサプライ(p.186)
日本銀行のマネーサプライの伸び率は他国と比べて低く、それがデフレを引き起こしており、日銀はどんどん国債を購入してマネーサプライを増やすべきと主張している。
つい先日デフレ対策としてマネーサプライを伸ばしましたね。
竹中さんの言う通りということなのでしょうか。

⑥年金は実は保険(p.193)
「『歳をとったら自動的に生活費をもらう権利が生じる』といのは、日本人の多くが抱いている幻想」、人生設計は自助自立して立て、年金はあくまでリスクをカバーするものと断言。
一方で、すでに当てにしている人たちが多くいるので白地のキャンパスというわけにはいかない政治問題とも指摘。

竹中さんの理屈は非常に筋が通っていて分かりやすい。
自助自立は第一原則だし、とても重要だと思う一方で、それを認めることが格差拡大につながっている面は否定できず、その辺が自分の中で受け入れきれないところ。
自助→共助→公助は間違いないけれどもそれをどのタイミングでどの程度出してくるのが一番良いのかということで意見は分かれる。


竹中平蔵、中国で日本経済を語る

竹中平蔵、中国で日本経済を語る

  • 作者: 竹中 平蔵
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2008/05/23
  • メディア: ハードカバー



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マッキンゼー式 最強の成長戦略 パトリック・ヴィギュエリ等著 [BOOK]

斉藤裕一訳。
エクスナレッジ、2009年2月発売。

大前研一さんや勝間和代さんが所属していたことでも有名な世界的コンサルタント企業のマッキンゼーの成長戦略ということで何となく借りてしまった。
・・・久しぶりに非常に難しい本だった。
タイトルは、何だか簡単なノウハウ本のように見えるが、中身は骨太の経営学的書物。
また、いかにも英語本を和訳した感じで、よくわからないカタカナの嵐で読みづらい。
とはいえ、得るところはあった。

いろいろ書いてあるが、要はこういうことだと勝手に理解。
(カタカナばかりは消化できず嫌いなので、勝手に意訳したので、間違っていたらごめんなさい。)
(1)成長パフォーマンスを以下の2つの軸で見て分析。
①当該会社の売上成長がGDPの伸び率を上回っているか。
②当該会社のTRS(株主投資利回り)が平均株価指数を上回っているか。
両方とも上回っているものをGrowth Giants、両方とも下回っているのはChallenged、売上成長は高いのに投資利回りが低いのをUnrewarded、売上成長は低いのに投資利回りが高いのをPerformerだそう。
(2)企業が市場分析をする上では成長産業、成熟産業といった大ざっぱな見方に流されることなく、各段階毎で緻密に分析していって、成長する機会を見つける。成長産業だからといって成功するとは限らないし、逆もまたしかり。ここを見つけられるかどうかが最重要。
(3)売上成長に貢献する要素は3つ。
①成長機会を経営者が的確に判断すること。どこにビジネスチャンスがあるかをしっかり見つけられるかどうかが、マッキンゼー的には46%を占める。
②合併。的確な企業をタイミング良く飲み込むことは企業を大きく成長させ、貢献度は33%。
③シェア獲得。現場で効率性を追求したり製品の質を上げてライバルに勝とうとすることの貢献度はわずか21%。

他にもいろいろモデルは示されていたが、かえって本質がわからなくなりそうなので、今まで書いた内容だけとりあえず吸収した。
地道な努力も大事だが、着眼点が最重要。そして、合併が非常に重要だということがわかった。
孫正義さんのソフトバンクやホリエモンがいたときのライブドアが合併を積極的に進めていた理由がちょっとだけわかった。
これでよしとしておこう。


マッキンゼー式 最強の成長戦略

マッキンゼー式 最強の成長戦略

  • 作者: パトリック・ヴィギュエリ
  • 出版社/メーカー: エクスナレッジ
  • 発売日: 2009/02/26
  • メディア: 単行本



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