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4TEEN 石田衣良著 [BOOK]

新潮社、2003年5月発売。
直木賞受賞作。

最近あまり小説を読んでいない。
一月、二月に一冊程度。
小説で久しぶりに感動したので紹介する。

iPhoneでpodcast番組「学問ノススメ」を聴いているのだが、石田衣良さんの回は非常に面白く、江川達也さんの回と双璧の面白さだった。
結構いい年(今年50歳になる)なのに、妙に冷めていて淡々としている。
それでいて「大人になるっていいですよ~」と言っていて。
そこが面白かった。
「4TEEN」もその中で紹介されていて、関心を持った。
学問ノススメはこちら↓(番組タイトルと内容が全く一致していない。外れの回も多い。)
http://www.jfn.co.jp/susume/

石田衣良さんの作品は「東京タワー」を読んだことがあったが、感想をまとめるほど心が動かされなかった。
この「4TEEN」には心が動かされた。

14歳の四人組だが、内容は14歳が読むには少々おませな内容。
ストーリーは全体的に躍動感があって良かったが、特に「飛ぶ少年」が良かった。
この作品の主人公ユズルは、歌も音痴で笑いのセンスもなくその他の才能も全くないのに、ものすごく目立ちたがりや。
クラスから完全に浮いていて、「痛い」存在そのもの。
「ぼく」はそのユズルには好かれているが、友達とは思われたくなく、適当な距離を保っている。
その彼が学校給食時の校内放送で痛々しいDJをやっている。
他のクラスメートが白ける中、「ぼく」が「いたたまれないほど恥ずかしくなった」(p.66)という表現。

・・・妙に心が動かされた。
「いたたまれないほど恥ずかしい」
こんなこと自分にもあった。
背筋が寒くなるような恥ずかしさ。
何度もあったなあ。
ま、それでいいのだけど。


4TEEN

4TEEN

  • 作者: 石田 衣良
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/05/22
  • メディア: 単行本



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脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」茂木健一郎著 [BOOK]

PHP、2007年12月発売。

茂木健一郎さんといえば、
脳科学者としてもテレビに出る前から広く知られている同氏。
とはいえ、有名になったのは、NHKの「プロフェッショナル」。
2年以上見ていたが、さすがに飽きてしまって最近は見ていない。
税申告関係で苦労されたようだが、研究者としての評価を落とすものではないと思っている。

さて本題。
茂木氏の言う「強化学習」とは、
①ある行動を取る
②試行錯誤の末うまくいく
③ほめられる、達成感を得るなど報酬を受けとる
④ドーパミンが放出され快感を得る
⑤ある行動と快感が結びつく
⑥再び同じ行動をとりたくなる(②に戻り繰り返される)

試行錯誤しての成功体験というのは、確かに思い起こすものはある。
難しい難題を何か偶然でクリアし、得意分野になることで達成感や褒められることでますますそのことに関心が向く。
逆に簡単な課題だと刺激や面白さを感じなくなっていく。
こういう経験は誰でもあるのではないか。
一流の研究者、スポーツ選手だけでなく、マニアやオタクといったある種の奇才も結局この「強化学習」が生み出すものだろう。
それを自覚的に生み出していくというのがミソ。

それを自分の成長にはめてみれば、「①ある行動をとる」ための課題設定が一番大事だと思う。
課題設定が、まず、ベクトルの方向としてどうか。
その時、その立場で自分においてふさわしいものか。
時間や金銭の投資配分としてどうか。
自分が好きになれるものか、行うことで自分を見失ってしまわないか。
その上で、その時の能力に照らして、簡単すぎないか、難しすぎないか。
適切な課題をいかに設定できるかが自分の成長に直結すると思う。

まずやってみることの有益性や午前中の時間の使い方が大事といった技術的なことは触れられているが、本質部分は前述の「強化学習」だと理解。


脳を活かす勉強法

脳を活かす勉強法

  • 作者: 茂木 健一郎
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2007/12/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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朝令暮改の発想 鈴木敏文著 [BOOK]

新潮社、2008年1月発売。

セブンイレブン、イトーヨーカドーを今の地位に押し上げた第一人者、鈴木敏文さんの本。
いろいろと印象的なことが書いてあり、付箋だらけになってしまった。

①「あるべき姿」を求めて絶えず、挑み続ける。それが絶対の追求です。(p.55)
②(経営者は、)「顧客のために」ではなく、「顧客の立場」で考えられることで、売り手側の勝手な思い込みや決めつけから抜け出すことができる。(p.61)
③誰もが初めは持っている純粋さをどこまで延ばし、成長させることができるか。これこそ経営におけるいちばんの真髄ではないかとわたしは思っています。(p,72)
④ものごとの本質とは、いわばゴルフクラブのスイートスポットのようなものです。そこにボールがあたれば、同じ力で最大限の飛距離が得られます。(p.76)
⑤いかに相手の自発性を引き出し、本来持っている潜在能力を活かせるか、こうした説得ができることが真のコミュニケーション能力といえるのではないでしょうか。(p.100)
⑥膨大な人数の顧客と日々向き合いながら実感する最大の特徴は、わがままで多くの矛盾を含んでいることです。(p.109)
⑦ビジネスの世界で挑戦するとは、まさに自分で仮説を立て、実行していくことであり、仮説を立てない人は仕事をする気がないのと同じであると肝に銘じるべきでしょう。(p.123)
⑧消費の最前線に立ち、ダイレクトに顧客と向き合っているわれわれから見ると、日本ほど「画一化」が進んだ国はありません。・・・ある時点でとらえると、特定の商品に人気が集中する画一化意外の何ものでもありません。・・・日本人の経済的、文化的な特性は、日本独特の画一的な消費パターンと無縁ではないと思われます。(p.131)
⑨いまは一気に売れ行きが立ち上がり、ピークに達したかと思うとすぐにピタッと売れなくなる「茶筒型」へと変わっています。
⑩マスコミはよく、コンビニが次々と店頭の商品を短期間で入れ替えるため、商品の短命化をもたらしている元凶であるかのようなとりあげ方をします。しかし、もしコンビニが商品のライフサイクルの決定権を持ち、次から次へと売れ筋商品をつくることができるなら、これほど楽な商売はないでしょう。実態はその反対で、コンビニは画一化と茶筒化が進む顧客ニーズの変化に歩調を合わせ、売れ行きが落ちて死に筋となった商品はすぐに店頭から排除し、新しい売れ筋を一気に投入しないと経営そのものが成り立ちません。(p.134)
⑪一歩踏み込んで挑戦すれば、当然、リスクをともないます。しかし、爆発点はリスクの向こうにあることを忘れるべきではありません。(p.142)
⑫本当に人を増やせば、よい仕事ができるのでしょうか。その前に考えるべきは、なぜ仕事量が多くなってしまうのかという根本的な問題ではないでしょうか。・・・もし、仕事量が多くて大変ならば、今の仕事のやり方を前提にしたまま、増員を求めるのではなく、その前に仕事のやり方そのものを根本から変えさせ、無駄をなくし、本質的に必要な仕事だけに絞り込んで生産性を高めていくことです。とかくありがちなのは、「仕事が忙しいのは人が少ないせいだ」「人が仕事を押し付けるせいだ」などとグチをいいながら、自らをかえりみようとしないことです。これではいつまでたっても問題は解決されず、一生忙しいまま仕事をすることになるでしょう。(p.171)
⑬新しい企画を発案したらすぐにトップマネジメントの判断を仰ぐべきで、その後で関連部門に対して情報の共有化を図ればすむ話です。新しい価値を生まない無駄なプロセスは極力排除すべきです。(p.175)

コンビニエンスストアという現代そのものの業態を作り出し、激烈な競争下で戦っている厳しさが伝わってくる内容だと思う。
無駄な手続きの排除(⑬)は全くその通りだと思うし、人の力を引き出すコミュニケーション力(⑤)は全くEQの「共鳴」と同じ考え方であり、僕自身の考え方にもピタッと合う。
ただ、正直共感できない部分が多々ある。たとえば、④ゴルフのスウィートスポットは一見「レバレッジ・ポイント」のようだが、鈴木さんはあくまで売れるという意味で「本質」と言っているだけであり、それが社会にどのような影響を与えるかまでは、考えた意見には聞こえない。「レバレッジ・ポイント」は社会全体にどのような影響を考えるかであり、根本的に相いれない。
また、商品サイクルの話(⑩)にしても、セブンイレブンの24時間営業にしても、人の欲望に合わせすぎたために、少なくとも働く人のリズムを壊しているし、そういう欲望に合わせるのが企業や公共機関の役目という度が過ぎた消費者心理を生む一方、社会のために貢献したり、他人のために少しは我慢するという心理を減退させているのではないか。
人の配置(⑫)については、一流の人ならそういう態度を持った方が良いという意味では共感できる部分もあるが、付いていけず精神的に追い込まれる人を大量に生み出し、社会がゆがむ危険を感じる。
もっとワークライフバランスを重視した経営が望ましい。
正直、こんな合理性一辺倒かつどのような社会を目指すビジョンのない考え方で経営される会社では働きたくない。


朝令暮改の発想―仕事の壁を突破する95の直言

朝令暮改の発想―仕事の壁を突破する95の直言

  • 作者: 鈴木 敏文
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 単行本



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実践EQ 人と組織を生かす鉄則 リチャード・ボヤツィス、アニー・マッキー著 [BOOK]

田中健彦訳。
日本経済新聞社、2006年9月発売。

EQ(Emotional Intelligence Quotientの略)は「感情知能(心の知能指数)」とも呼ばれる開発可能な能力。
一般的に知られているIQ(Intelligence Quotient)に比べて後発で、日本では1996年にダニエル・ゴールマンの訳本が80万部売れて一気にメジャーになった。
僕自身、EQ本を読むのは10年以上ぶりだ。

この本は、優れたリーダーになるためには、どんなEQスキルが必要なのかということを中心に書かれている。
「リーダーにもっとも大切なのは、どんな知識があるかではなく、知識をいかに使うかという点だ。ここにEQが登場する。・・・自己認識と自己管理を育てれば、自己の強みをフルに活かして感情を管理し、それぞれの目標への情熱的なコミットメントを作り出すことができる。そのうえ、他人を理解できるようになれば、もっと効果的に一人ひとりをやる気にさせ、グループやチームや組織の文化を生み出すことが可能になる。」(p.46)

僕の理解したエッセンスは以下の通り。

①良いリーダーシップとは、他者を「共鳴」させ、それを持続拡大できること。
②困難な状況に陥った時、逃れようとするのではなく、「希望」を持って正面から取り組み、前向きな雰囲気を作り出す。
③他者と環境の状況について深く洞察し、その中で自分のすべきことを意識し、他者の感情と心を知り「思いやり」をもって接することで、他者を「共鳴」させる。
④自己犠牲と再生のサイクルを知り、完全にコントロールすることで、「共鳴」を維持させる。

訳者のあとがきに書いてあったが、ある程度の社会的立場にある人はたいてい他者を「共鳴」させられるが、そういう人でも多くの場合他者の「共鳴」状態を維持できない。
リーダー(管理職と言っても良い)としての成否は、いかに他者を「共鳴」させ、持続拡大できるかにかかっている。
小さなグループでは、「共鳴」の持続拡大ができたとしても、環境が変わったり、より責任を持つと話が変わる。
自分にストレスが強くかかり、他者を「共鳴」させることができなくなり、自分が抱え込んでしまってますますストレスをため込み、自己犠牲サイクルから脱出できなくなる。
こういう例は枚挙にいとまがない。

ストレス耐性がある人は「特別な遺伝形質や性格を備えているわけではなく、意識を傾注したり希望や思いやりをもつなどの内面活動に積極的にかかわることで、継続的に再生していることがわかっている。つまり、再生を生活の一部にしているから、大した努力が必要ない」(p.97)だそう。
他者や自分に対して「思いやり」を持つことを職場でも私生活でも取り入れるということができれば、最高だ。
これは心がけて見ようかな。

「希望」と「共鳴」と「思いやり」
と、まとめてみる。


実践EQ 人と組織を活かす鉄則―「共鳴」で高業績チームをつくる

実践EQ 人と組織を活かす鉄則―「共鳴」で高業績チームをつくる

  • 作者: リチャード ボヤツィス
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 単行本



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竹中平蔵、中国で日本経済を語る [BOOK]

大和書房、2008年5月発売。

竹中平蔵元総務大臣。
数年前まではずっと時の人だった。

竹中さんが中国の北京大学で特別講義をまとめたのが本書。
日本経済発展のメカニズム、バブル崩壊、郵政民営化、官僚、中国は日本の脅威かなどをきわめて明快にわかりやすくまとめている。
竹中さんは、サミュエル・スマイルズの自助論を地で行く経済学者であり、だからこそ、アメリカ・グローバル資本主義の手先だと批判も浴びてきた。
頑なに自分の理論を貫く学者魂を感じる。

経済学をきちんと学んだことがないため、基本的な解説が特に勉強になった。

①資本の生産性について
高度成長期の日本は、資本の生産性が高かった。100万円設備投資で、100万円の生産を生み出していた。GDP比で10%を設備投資が占めていたとして、成長率で10%近い寄与があった。
今の日本は、労働力と機械といった、生産に直結する直接的な設備投資ばかりだった時代と異なり、安全性、環境や福利厚生といった間接的な設備投資が大半を占めていて、資本の生産性が低い。GDP比で5%を純粋部分の設備投資があったとして、成長率で2%くらいの寄与しかなくなっている。(P.39~40)
先進国になるということは、非効率的な部分(価値観的には重要だが)に投資をしていくということであり、それが経済成長を鈍化させているんだな。

②ナイトの不確実性(p.58)
「これから先どうなるかわからないという不安があると、人は最悪のケースを想定して行動する。」
企業間取引における信用崩壊(ディスオーガニゼーション)で産業組織が崩壊するのとならんで、バブル崩壊後に日本で大きくはびこっていた。
不景気はいろいろなものを壊していく。

③銀行はなぜ「特別」か(p.75)
「銀行は『預金』という決済インフラを持つという意味で、特別な機関」
すなわち、給料、公共料金、クレジットカードの買い物料金の引き落としをするインフラが崩壊することは国民生活に直結するため、是が非でも守らなければならないということ。

④戦略的アジェンダ(p.137)
ボーリングのセンターピン。
ここに当てられるかどうかが政策が成功する鍵。
誰もが理解できて目に見える政策であり、かつ波及効果が期待されるもの。
レバレッジポイントとかなり近い考え方だと思う。
まず見つけられるかどうかが成功の分かれ道。
これは、マッキンゼーの成長戦略で触れた成長機会の把握がうまくいくかどうかが成功の最大の分かれ道というのとも同じ。

⑤日銀のマネーサプライ(p.186)
日本銀行のマネーサプライの伸び率は他国と比べて低く、それがデフレを引き起こしており、日銀はどんどん国債を購入してマネーサプライを増やすべきと主張している。
つい先日デフレ対策としてマネーサプライを伸ばしましたね。
竹中さんの言う通りということなのでしょうか。

⑥年金は実は保険(p.193)
「『歳をとったら自動的に生活費をもらう権利が生じる』といのは、日本人の多くが抱いている幻想」、人生設計は自助自立して立て、年金はあくまでリスクをカバーするものと断言。
一方で、すでに当てにしている人たちが多くいるので白地のキャンパスというわけにはいかない政治問題とも指摘。

竹中さんの理屈は非常に筋が通っていて分かりやすい。
自助自立は第一原則だし、とても重要だと思う一方で、それを認めることが格差拡大につながっている面は否定できず、その辺が自分の中で受け入れきれないところ。
自助→共助→公助は間違いないけれどもそれをどのタイミングでどの程度出してくるのが一番良いのかということで意見は分かれる。


竹中平蔵、中国で日本経済を語る

竹中平蔵、中国で日本経済を語る

  • 作者: 竹中 平蔵
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2008/05/23
  • メディア: ハードカバー



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マッキンゼー式 最強の成長戦略 パトリック・ヴィギュエリ等著 [BOOK]

斉藤裕一訳。
エクスナレッジ、2009年2月発売。

大前研一さんや勝間和代さんが所属していたことでも有名な世界的コンサルタント企業のマッキンゼーの成長戦略ということで何となく借りてしまった。
・・・久しぶりに非常に難しい本だった。
タイトルは、何だか簡単なノウハウ本のように見えるが、中身は骨太の経営学的書物。
また、いかにも英語本を和訳した感じで、よくわからないカタカナの嵐で読みづらい。
とはいえ、得るところはあった。

いろいろ書いてあるが、要はこういうことだと勝手に理解。
(カタカナばかりは消化できず嫌いなので、勝手に意訳したので、間違っていたらごめんなさい。)
(1)成長パフォーマンスを以下の2つの軸で見て分析。
①当該会社の売上成長がGDPの伸び率を上回っているか。
②当該会社のTRS(株主投資利回り)が平均株価指数を上回っているか。
両方とも上回っているものをGrowth Giants、両方とも下回っているのはChallenged、売上成長は高いのに投資利回りが低いのをUnrewarded、売上成長は低いのに投資利回りが高いのをPerformerだそう。
(2)企業が市場分析をする上では成長産業、成熟産業といった大ざっぱな見方に流されることなく、各段階毎で緻密に分析していって、成長する機会を見つける。成長産業だからといって成功するとは限らないし、逆もまたしかり。ここを見つけられるかどうかが最重要。
(3)売上成長に貢献する要素は3つ。
①成長機会を経営者が的確に判断すること。どこにビジネスチャンスがあるかをしっかり見つけられるかどうかが、マッキンゼー的には46%を占める。
②合併。的確な企業をタイミング良く飲み込むことは企業を大きく成長させ、貢献度は33%。
③シェア獲得。現場で効率性を追求したり製品の質を上げてライバルに勝とうとすることの貢献度はわずか21%。

他にもいろいろモデルは示されていたが、かえって本質がわからなくなりそうなので、今まで書いた内容だけとりあえず吸収した。
地道な努力も大事だが、着眼点が最重要。そして、合併が非常に重要だということがわかった。
孫正義さんのソフトバンクやホリエモンがいたときのライブドアが合併を積極的に進めていた理由がちょっとだけわかった。
これでよしとしておこう。


マッキンゼー式 最強の成長戦略

マッキンゼー式 最強の成長戦略

  • 作者: パトリック・ヴィギュエリ
  • 出版社/メーカー: エクスナレッジ
  • 発売日: 2009/02/26
  • メディア: 単行本



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「ニート」って言うな! 本田由紀・内藤朝雄・後藤和智著 [BOOK]

光文社新書、2006年1月発売。

ニート("Not in Education, Employment or Training")=働かず、就学もせず、求職行動もとっていない若者

本書は、著者の一人である本田さんのblogのコメント欄で盛り上がって、それまで一度も会ったことのなかった三人が集まって一冊の書くことになったとのこと。
若者雇用問題や少子化問題等の現代社会の抱える課題を若者とその家族に負わせ、若者を変えることに力点を置いている政府や世論に対する反発は三人の共通するところである。
システム思考的発想でいえば、ツボじゃないところをいくら押したって、間違った方向にしか作用しないということなのだろう。

まず、本田さん。
政府や世論は、そのニートが増えているというが、就業構造基本調査結果から、統計的に「働きたくないニート((注)ラクだによる言葉)」は増えていない。
あくまで増加しているのは、「働きたいニート((注)ラクだによる言葉)」であり、またそれを含めた若年失業者であり、フリーターであるとしている。
そういう状況なのに、「働きたい」という意識の植え付けをすでに「働きたい」と思っている若者に強要するのは筋違いであり、さらに、「働きたいニート」に対しても「ひきこもり」「犯罪親和層」とするのは、言語道断と主張している。
「働きたくないニート」対策としては、できるだけ早い段階から予防と巻き込まれてしまった場合の支援の二つが大事としている。
圧倒的な多数を占める「働きたいニート」を含めた若年失業者対策にとしては、学校経由の就職が量的に飛躍できない以上、新採以外の無業者やフリーターも含めた若年労働市場の道筋として確立させ、そのためには、正社員の処遇を一定程度引き下げる必要があるとしている。
また、専門高校の量を現在よりも大きく拡大する必要があるとしている。

次に、内藤さん。
警察庁の統計を示して、現在の青少年犯罪で殺人や強姦といった凶悪犯罪が減少傾向にあり、「草食動物化」していることを強調している。
そのうえで、「ニート」をめぐる状況は一種の「祭り」であり、「パラサイト」「ひきこもり」という先行ヒット商品を経て、生まれたと分析。
若年者を悪者にするメカニズムについて、「マス・メディアの悪辣な扇動と、大衆の歪んだ憎悪と不安と被害感が相互に誘導しあうダイナミズムが問題です。このダイナミズムから生まれた世論を政治が利用します。」(p.168)

最後に、後藤さん。
マスコミ等でどのように「ニート」という言葉が使われているかを丁寧に分析している。
「ニート」という言葉の定義もバラバラであり、現在の若者全体を表すかのような誤用・乱用がみられるとしている。
「我が国において『ニート』論が社会構造の問題よりも青少年の内面の問題として問題化されることが多かったことから生まれているといえる。」(p.296)

内藤さんと後藤さんは、「教育」(本田さんも含めそれぞれ定義が違うようだが)に対して懐疑的・否定的だ。

悪いことについて自分じゃない何かに原因を求めたがるのは、人類共通じゃないかと思ったりする。
「○○が悪い」と言って、それが大きなうねりとなってしまう。
悲しいことだ。
そういうことを前提として、どうやってうまいこと解決に向けて動かすような波を作っていくか。
道は険しい。


「ニート」って言うな! (光文社新書)

「ニート」って言うな! (光文社新書)

  • 作者: 本田 由紀
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/01/17
  • メディア: 新書



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犯人目線に立て! 危険予測のノウハウ 小宮信夫著 [BOOK]

PHP、2007年11月発売。

小宮信夫氏は、近年、イギリス、アメリカで犯罪抑止の効果が出ているとされる犯罪機会論を主張している。
これまでの犯罪対策の主流は、犯罪者が犯行に及んだ原因を究明し、それを除去することによって犯罪を防止しようとする犯罪原因論によっていた。
それに対して、パラダイム・シフトといっていいほどの流れの変化を起こした。
「それは、犯罪の機会を与えないことによって、犯罪を未然に防止しようとする考え方である。
言い換えれば、“犯罪機会論”は被害者の視点から、すきを見せなければ犯罪者は犯行を思いとどまると考える立場である。
この立場では、犯罪者と非犯罪者との差異はほとんどなく、犯罪性が低い者でも犯罪機会があれば犯罪を実行し、犯罪性が高い者でも犯罪機会がなければ犯罪を実行しないと考えられている。この考え方に基づいて、欧米諸国の犯罪対策は、物的環境の設計や人的環境の改善を通して、犯行に都合の悪い状況を作り出すことが主流になった。(小宮信夫氏/犯罪社会学者2005年7月11日 SAFETYJAPAN2005)」

本書でも、犯罪原因論は、罪を犯した者に専門家がケアをする際に最も効果的であり、予防という観点ではあまり意味がないことを指摘している。
犯罪原因論と親和性の高い「不審者」という言葉の使い方についても注意喚起している。
見た目が怪しげな人で使われる場合も、ほとんど犯罪者と同義で使う場合もある言葉であり、下手をすれば人権侵害につながりかねないと鋭く指摘している。
「不審者」に注意しましょうというやり方は、確かに、子どもが大人に対して「不審者」かもしれないと思って離れていきかねないし、人に対するレッテル張りのような副作用が出やすい。
レッテル張りは、もともとなんら問題の無い人が信用されていないことに絶望し、かえって悪循環を起こしかねない。
「不審者」に注目するやり方は賢いやり方ではなさそうだ。

また、「入りやすく」「見えにくい」ところで、犯罪は起こりやすいとしているのは、非常に簡潔でわかりやすい。
逆に、「入りにくくする」「見えやすくする」ことで、犯罪は起こりにくいとすんなり入っていける。
犯罪機会論だけで、犯罪が予防できるわけではないと思うが、アプローチの仕方としては共感できる。

この犯罪機会論の教育等の環境整備等の他の分野への転用を、4年以上前から思っている。
うまくできれば、子どもが健やかに成長する環境とは何か、勉強に一生懸命取り組める環境は何か、そういった感じで建設的な議論につながりやすそうだ。
学習意欲につながる環境の研究、心や体を鍛える環境の整備につなげることも可能かも。
青少年健全育成のための有害図書の排除、たむろ場の排除といった手法の妥当性も冷静な議論がしやすくなるだろう。
良い成果の出ている地域や学校等の取組もそういう意味から捉え直せば、新しい発見があるのではないか。
やれ学力低下の犯人は誰か、いじめが多発したのは誰のせいかといった、責任のなすりつけあいや後ろ向きになりがちな議論に拘泥しなくなるのではないか。

また、人ではなく場所に着目した方が副作用が出にくく「レバレッジ・ポイント」の発見にもつながらないか。
うさんくさく思われるおそれはあるが、「子供が頭がよくなるマンション」みたいなもの(http://www.itochu-sumai.com/media/fig04.html)も、発想の着眼点として、意外とありだと思う。
他人からよく見えるところでは、悪いことはできないし、むしろ良いところ見せようと思うのが、人間の心理ではないだろうか。
自分の中でよく反芻してみたいと思う。


犯人目線に立て! ―危険予測のノウハウ

犯人目線に立て! ―危険予測のノウハウ

  • 作者: 小宮 信夫
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2007/11/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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NQ ネットワーク指数 なぜ、あの人のまわりには「素敵な人」が集まるのか  マイケル・ダルワース著 枝廣淳子訳 [BOOK]

東洋経済新報社、2009年5月発売。

成功の公式は「IQ+EQ+NQ=成功」(p.24)
NQとは、Networking Quotient
ちなみに、EQとは、「自分自身や他者、グループの感情を認識し、判断し、うまく対処する能力またはスキルのこと(ダニエル・ゴールマン)」
筆者は、NQ(ネットワークづくり)について、後天的な努力で完全に補える点で成功において最も重要な要素だとしている。

特に印象的だったのは、以下の点。
①自分のキャリアと人生を支援する「マイ役員会」をつくること
②量よりも質を求めること
③多様性、多様性、多様性!
④自分自身のブランドを確立すること
⑤相互に支え合う関係になれるかどうか重要なことは自分をさらけ出すこと

非常に参考になるなあ。


NQ ネットワーク指数

NQ ネットワーク指数

  • 作者: マイケル・ダルワース
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2009/05/22
  • メディア: 単行本



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なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか? 枝廣淳子、小田理一郎著 [BOOK]

副題 小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方
東洋経済新報社、2007年3月発売。

枝廣淳子さんの本といえば、「朝2時起きで、なんでもできる!」を2002年頃に読みました。
あれから、7年も経つのか(ため息)
ちょうど一年前に松江に講演にいらっしゃって拝聴しました。
非常によくまとまったプレゼンテーションでした。

さて、本書。
システム思考=思い込みを排し全体を見ること。
直線思考をして、あちらをたてればこちらが立たないような捉え方をせず、ルービックキューブのように全部が成り立つような把握をする。
「副作用」などとしてごまかすなく、すべてを「作用」と見る。
その上で、小さな力を使って大きく動かす「レバレッジ・ポイント」を見つける。

全体性の把握は僕も意識しているところであり、ここまでは非常に参考になった。
「レバッレッジ・ポイント」は「かいしんのいちげき!(笑)」であり、そこを偶然でなく、導きだせるようになれば本物だ。
その具体的方法としてループを使う方法が詳しく紹介されているが、今ひとつしっくりこないので、他の方法を考えてみる。

本を飛び越えた、僕なりの理解では、「レバレッジ・ポイント」を見つけるためには、①知識、②経験、③勘(センス)が必要。
まずは、アンテナを高くして、①、②を地道に磨く。
③は才能かもしれないが、試行錯誤してみる。
そして、最後に、「レバレッジ・ポイント」を「④実現するための最適な手段」が必要ということも忘れないようにしようと。
実現まで結びつけなければ意味がないと。

しかし、この「レバレッジ・ポイント」は、非常に心に響きました。
というわけで、「知的生産性の向上」を押しのけて、マイブーム入り。
満足、満足。

枝廣さんのかかわっている「私の森.jp」に掲載されている自然風景の壁紙をとってきて癒されています。
http://watashinomori.jp/go/photo.html
こちらについても、重ねて謝謝。


なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方

なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方

  • 作者: 枝廣 淳子
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 単行本



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