1997年8月中国・チベット感動一人旅⑤ [TRIP]
バスの外の暗やみから
まさに千秋みたいな
うるさくて甲高い声がする。
バスの運転手がそのグループと交渉している。
「おいおい、まさか日本人だからって売り渡されたりしないよな。」
しばらくすると、謎の物体の入った袋がバスに何十も詰め込まれた。
周りは汚い袋だらけ。
「なんだ、なんだ?」
千秋他10人弱の中国人が乗り込んできた。
特に千秋がやたらうるさい。
これじゃあ眠れない。
こちとらお金を払ってるんだぞ(怒)
「黙れ、千秋(怒)」
(心の叫び)
千秋地獄。
周りの袋は何だろう?
袋の破れたところから見えたのは、「栗」
「なぜに栗?」
そして、次の日の朝。
なんか足の上をもそもそ歩いている物体あり。
「うん?」
…それはとっくり虫だった。
しかも何匹もいる。
「や、やめてくれー!!」
とっくり虫地獄。
南京近郊に着いてからも大渋滞に巻き込まれ、とっくり虫にキレたラクだはバスを途中下車し、バイクタクシーに乗り換えた。
侵華日軍南京大屠(虐)殺遇難同胞紀念館(いわゆる南京大虐殺紀念館)に向かった。
バイクタクシーの運転手さんは、僕が日本人だとわかると何ともいえない複雑な顔をした。
施設はガラガラだったが、ここでも、またいろいろと考えさせられた。
南京から上海は特急電車で向かった。
自分の指定席に自分と同じくらいの年の中国人の若者が座って大騒ぎをしていた。
チケットを見せても、番号と違うその辺の席に座れば良いのだというジェスチャーをした。
…そういうものなのだろうか。
まあいいや。
中国人がはしゃいでいるのを横目で見ながら、車窓をボーっと眺めていた。
着いた上海では目的の安宿(浦江飯店のドミトリー)まで、上海の裏番地を歩いた。
上海にも貧しい人々がたくさん暮らしている場所がある。
表通りの華やかさと、裏の何ともいえない暗さ。
これもまた中国なのだろう。
浦江飯店で、帰るだけだなと寂しくもあり、ホッとする気持ちもありで
荷物を整理したときに、まだいたのである。
とっくり虫が。
大ショック・・・
「あなたはなぜ上海まで付いてくる。」
上海では最後の晩餐ということで、上海蟹を食べた。
大衆食堂だったからか、味音痴のためか「普通の蟹かな」程度にしか感じなかった。
刺身でも食べたが、今から考えれば、よくお腹を壊さなかったと思う。
上海の最後の夜は、ちょうど一五夜だったので月見をした。
異国でぼーっと月を見ていると不思議な気持ちになった。
月というのは不思議な気持ちを引き起こすのだ。
長江の河口に行くと、なんと月食で逆流していた。
ますます何ともいえない気持ちになった。
上海の華やかなテレビ塔を見ながら、ぼーっと考えていた。
「来てよかった。いつかまた、I shall returnだ。」
(トルコ・ギリシャ・北キプロス編に続く。)
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