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4TEEN 石田衣良著 [BOOK]

新潮社、2003年5月発売。
直木賞受賞作。

最近あまり小説を読んでいない。
一月、二月に一冊程度。
小説で久しぶりに感動したので紹介する。

iPhoneでpodcast番組「学問ノススメ」を聴いているのだが、石田衣良さんの回は非常に面白く、江川達也さんの回と双璧の面白さだった。
結構いい年(今年50歳になる)なのに、妙に冷めていて淡々としている。
それでいて「大人になるっていいですよ~」と言っていて。
そこが面白かった。
「4TEEN」もその中で紹介されていて、関心を持った。
学問ノススメはこちら↓(番組タイトルと内容が全く一致していない。外れの回も多い。)
http://www.jfn.co.jp/susume/

石田衣良さんの作品は「東京タワー」を読んだことがあったが、感想をまとめるほど心が動かされなかった。
この「4TEEN」には心が動かされた。

14歳の四人組だが、内容は14歳が読むには少々おませな内容。
ストーリーは全体的に躍動感があって良かったが、特に「飛ぶ少年」が良かった。
この作品の主人公ユズルは、歌も音痴で笑いのセンスもなくその他の才能も全くないのに、ものすごく目立ちたがりや。
クラスから完全に浮いていて、「痛い」存在そのもの。
「ぼく」はそのユズルには好かれているが、友達とは思われたくなく、適当な距離を保っている。
その彼が学校給食時の校内放送で痛々しいDJをやっている。
他のクラスメートが白ける中、「ぼく」が「いたたまれないほど恥ずかしくなった」(p.66)という表現。

・・・妙に心が動かされた。
「いたたまれないほど恥ずかしい」
こんなこと自分にもあった。
背筋が寒くなるような恥ずかしさ。
何度もあったなあ。
ま、それでいいのだけど。


4TEEN

4TEEN

  • 作者: 石田 衣良
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/05/22
  • メディア: 単行本



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脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」茂木健一郎著 [BOOK]

PHP、2007年12月発売。

茂木健一郎さんといえば、
脳科学者としてもテレビに出る前から広く知られている同氏。
とはいえ、有名になったのは、NHKの「プロフェッショナル」。
2年以上見ていたが、さすがに飽きてしまって最近は見ていない。
税申告関係で苦労されたようだが、研究者としての評価を落とすものではないと思っている。

さて本題。
茂木氏の言う「強化学習」とは、
①ある行動を取る
②試行錯誤の末うまくいく
③ほめられる、達成感を得るなど報酬を受けとる
④ドーパミンが放出され快感を得る
⑤ある行動と快感が結びつく
⑥再び同じ行動をとりたくなる(②に戻り繰り返される)

試行錯誤しての成功体験というのは、確かに思い起こすものはある。
難しい難題を何か偶然でクリアし、得意分野になることで達成感や褒められることでますますそのことに関心が向く。
逆に簡単な課題だと刺激や面白さを感じなくなっていく。
こういう経験は誰でもあるのではないか。
一流の研究者、スポーツ選手だけでなく、マニアやオタクといったある種の奇才も結局この「強化学習」が生み出すものだろう。
それを自覚的に生み出していくというのがミソ。

それを自分の成長にはめてみれば、「①ある行動をとる」ための課題設定が一番大事だと思う。
課題設定が、まず、ベクトルの方向としてどうか。
その時、その立場で自分においてふさわしいものか。
時間や金銭の投資配分としてどうか。
自分が好きになれるものか、行うことで自分を見失ってしまわないか。
その上で、その時の能力に照らして、簡単すぎないか、難しすぎないか。
適切な課題をいかに設定できるかが自分の成長に直結すると思う。

まずやってみることの有益性や午前中の時間の使い方が大事といった技術的なことは触れられているが、本質部分は前述の「強化学習」だと理解。


脳を活かす勉強法

脳を活かす勉強法

  • 作者: 茂木 健一郎
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2007/12/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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再びニューヨークへ行ってきた。その4 ラーメン屋等番外編 [TRIP]

セサミストリートのエルモとクッキーモンスター?それともグローバー?らしき着ぐるみが町中を歩いている。
子どもに大人気。
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町中のファーストフードにもかわいい絵柄を発見してうれしくなって撮って見た。
子ども受けしそう。
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子どもに大人気と言えば、任天堂ショップ。
クリスマス後にもかかわらず大にぎわい。
WiiもDSもすごく人気があること実感。
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さて、日本のお店の頑張り具合を紹介。
東京の有名ラーメン店「せたが屋」ニューヨーク店。
年末の12時前だったが、客はもう一人しかいなかった。
味のベースは同じだが、少し雑な味の印象。まあ美味しいんだけど。
日本人はおらず、挨拶がきちんとできていなかったり雑談をしているなど細かいサービスで大きく日本の店より劣る。
値段は10ドルくらい。
http://www.setaga-ya.com/shop/t_ny_stm.html
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お正月には、「博多一風堂」のニューヨーク店。
ここは現地のレストランガイド「ザガットサーベイ」でも非常に高い評価を受けており、現地の日本人も絶賛していた。
チップ入れて15ドルくらいするが。
やたら凝ったホームページには何も書いていないので、お正月に行った。
が、休みだった。正月三が日は休みらしい。
ホームページにも書いて欲しいものだ。
他にもひっかかった日本人を複数名見た。
http://ippudo.com/ny/
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そのため、日本のラーメン屋で修業したシェフがいるとかいうモモフクラーメンに行って見た。
こちらは11時にもかかわらず現地の人が列を作っていたので、期待して入った。
店は清潔で、しっかりと働いている。
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・・・しかし、ラーメンは3種類くらいのチャーシューがぎっしり。
味は脂ぎりまくり。
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これは、日本のラーメンを食べ慣れている人にはきつい。
連れは2分の1でもう限界に達した。
連れの分ももったいないので食べたら、三日分の油を食べた感じでものすごく気持ち悪くなった。
http://www.momofuku.com/

あまりに気持ち悪くなったので、229 E. 9th St. (bet. 2nd & 3rd Aves)にある蕎麦屋(Sobaya)で口直しした。
ここはいつも行列らしい。
外国人の人も多く働いているが、すべてが完全日本クォリティで感心した。
値段も10ドル程度。

吉野家にも行ったが、チキンプレートなどの洋風のメニューが並び、しかもマクドナルドのような事前先払いの注文の仕方。
牛丼だけなら5ドルしない。
味は雑な作りであり、日本のより明らかに美味しくない。

帰りは、マンハッタンのペンシルバニア駅(PENNSYLVANIA STATION)から、ロングアイランド鉄道(LONG ISLAND RAILROAD。略してLIRR)に乗って見た。
あっという間(20分くらい)に空港近くのジャマイカ駅まで行くが、全く高級感はない。
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今度はいつニューヨークに行くことになるかわからないが、楽しみ方がだいぶわかってきた。
楽しみ、楽しみ。
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再びニューヨークへ行ってきた。その3 美術館・博物館・動物園編 [TRIP]

ニューヨークで美術館・博物館といえば、
・メトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)
・ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art, New York: MoMA)
・アメリカ自然史博物館(The American Museum of Natural History)
が特に有名。

今回は別の美術館に行って見ようと考えた。
候補の一番目は、近現代美術で有名なホイットニー美術館(Whitney Museum of American Art)。
しかし、回ろうと思っていた月・火曜日がちょうど定休日のため、断念。
http://www.whitney.org/

次の候補、グッゲンハイム美術館 (Guggenheim Museum)に行って見た。
場所は、メトロポリタン美術館のすぐ近くだが、メトロポリタンがちょうど定休日だったこともあって、混雑で30分以上入場できなかった。
ユニークな見た目同様、会場内では渦巻き状に作品を見ていく。
カンディンスキーの特集で、無料の音声ガイド(英語)が付く。
18ドル(大人1名:以下同じ)だった。
単に非常に込んでいる美術館が嫌いだからか、今一つに感じた。
http://www.guggenheim.org/
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クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館 (Cooper-Hewitt, National Design Museum)
は、デザインとデザイン史に関する展示をおこなっている。
こぶりながら、自然界にある材料をデザインともども見せるという特集をやっていて、なかなか面白かった。
博物館の建物自体も昔の屋敷を改造したみたいで面白かった。
15ドル。
http://www.cooperhewitt.org/
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ユダヤ博物館(THE JEWISH MUSEUM)も非常に歴史が詳しくわかって良い感じ。
受付に聞かれて、日本人だと言うと、うれしそうに日本語の案内をくれた。
12ドルなり。
http://www.thejewishmuseum.org/index.php
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セントラルパーク動物園(CENTRAL PARK ZOO)にも行ってみた。
10ドル。
相当小さい動物園で地下鉄で行けばもっと大きい動物園もあるらしい。
愛機MacBook ProのOSと同名のSnow Leopardを発見してテンションが上がった。
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結構大きな温室鳥園があり、真冬でもトロピカルな雰囲気が漂っている。
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他にもヤギやロバに餌をあげられたりして楽しい。(自動販売機 25セント)
圧倒的に親子連れが多い。

こういうニューヨークもまた楽し。
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再びニューヨークへ行ってきた。その2 いかにもマンハッタン編 [TRIP]

iPhoneのカメラで撮って見ました。

ロックフェラービル前のクリスマスツリー。
この隣に小さなアイススケート場があり、カップルや家族連れでにぎわっている。
クリスマスのデコレーションは年内まで続く。
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タイムズスクエア周辺。
大晦日のカウントダウンはリアルタイムでTV鑑賞した。
テロ厳戒警戒中かつ、氷点下で悪天候にも負けずに恐ろしいほどの盛り上がりを見せていた。
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ビルの外壁がクリスマスコーディネートで埋め尽くされている。
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昼のマンハッタンは、東京のように皆さん猛烈なスピードで歩いている。
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年末のウォール街は少し閑散としていた。
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チャイナタウンは当たり前とはいえ中国語ばかりが飛び交っている。
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ニューヨークは結構ゴミだとか捨ててある地域があり、東京に比べてはるかに汚い。
外国に出ると、日本は全体的に清潔だと改めて思う。
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ハーレムの教会でゴスペルを聴いた。
「天使にラブソング」をイメージして行った。
実際は、ドラムやらサックスやらで結構激しく、信者の人も前に出て歌ったりしていて、聖歌隊がぐいぐい引っ張っていく感じではなく、ちょっとイメージと違った。
ハーレムの近くもゴミが散らかっていたりするあまり清潔でない地域が結構あるようだ。
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ブロードウェイミュージカルの「マンマ・ミーア」はノリノリで最高!!
今まで「レ・ミゼラブル」や「オペラ座の怪人」を観たが、こっちの方が話が単純で明るくて純粋に楽しめる。
CD買ってしまった。
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大晦日の夜は、Avery Fisher HallでNew York PhilのNew Years Eve Concertを聴いた。
200ドルのチケット・・・・
前聴いたときは同じくらいの席で60ドルくらいだった。
新年価格だ。ちなみにオペラは三倍した(6万!)ので断念。
ニューヨークフィルはさすがの迫力と切れのある演奏。
ただ、コンサート内容は、アメリカ人は盛り上がっていたが、アメリカの昔の歌とかで正直よくわからなかった。
ちなみに、音楽監督のAlan Gilbertは、ニューヨーク生まれ、ニューヨーク育ちだが、実は母親は元ニューヨークフィルヴァイオリン奏者の建部洋子氏。
ニューヨークフィル:http://nyphil.org/
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アメリカ自然史博物館近くのフュージョン系料理を出すお店。
めでたいHappy New Yearモードで、お店の屋根が風船だらけ。
しょっちゅうパンクしている中、お店の人が一生懸命膨らましているのが面白かった。
肝心の料理も、日本ではありえない味の寿司とか出たが、結構おいしかった。
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写真で紹介できないが、ジャズバーの「SMOKE」
ここは青山のブルーノートのように大きくなく、ものすごく臨場感のある雰囲気で、素晴らしい音楽がリーズナブルな料理と一緒に楽しめる。
非常にお奨め。
唯一の欠点はトイレが少なく演奏者のそばにあるということ。
http://www.smokejazz.com/
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再びニューヨークへ行ってきた。その1 iPhone編 [TRIP]

ニューヨークに10月に続いて年末年始行ってきた。
もう三度目になるのだけど、今回が一番楽しかった。

まず、おそらく日本では入手困難なタイムズスクエアの地下鉄の入り口の看板のデザインのiPhoneカバーをご紹介。
数字やアルファベットは地下鉄の路線の番号。
iphoneカバー1.jpg

違う角度から写すとこんな感じ。
シンプルなデザインで、すっごっく気に入っている。
iPhoneカバー2.jpg

ちなみに、地下鉄の構内の看板はこんな感じ。
IMG_0132.jpg

これは、ニューヨーク五番街767番地(58丁目と59丁目の中間)--Plaza HotelやBergdorf Goodmanの向かい側のGeneral Motorsビル前パブリックプラザ広場のなかにあるアップルストアで買ったもの。
アップルストアとしては、日本にある店より敷地が大きい。
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帰りの空港では、iPhoneアプリのBoing Wi-Fiをインストールして、空港でウェブサーフィン、YouTube視聴やアプリケーションのアップデートを楽しんだ。
世界的に売れているとこういう使い方をとっさにできるからすごい。
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今回失敗したのは、泊まっていた場所は有線LANしかなく、iPhoneの無線LANが使えなかったこと。
ニューヨークでは、自然とパケットを消費してしまうiPhoneのパケ死対策として「設定−一般−ネットワーク−データローミング−オフ」にしていたため、帰りの空港まで全く通信ができなかった。
この場合でも、携帯メールが来た場合、メールが来ましたとは表示されるため、その時だけ設定を元に戻した。

有線LANしかないホテルは日本のビジネスホテルでも散見されるため、日本に帰ってきてから、コンパクト無線LANルータ「MZK-MF150W」を買った。
これはとても小さくてしかも5000円くらいとリーズナブル。これから出張のお供に活躍しそう。
http://www.planex.co.jp/product/router/mzk-mf150/

ちなみに、海外では主流のGSMがないiPhoneであるが、3G回線でもニューヨークならある程度電波は入る。
海外出張でも対応できそう。

iPhoneのカメラでとった下手な写真ともどもレポートは続く。(その2へ)
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映画「アバター 3D」感想 [MOVIE]

今年初ブログ。

「タイタニック」のジェームズ・キャメロン監督。
「映像がとにかくすごい」という噂に心が動かされて、3D版を見に行った。
正直、予告編を見たときには、異星人の異形についていけず全く関心がわかなかった。
島根県で唯一の3D版を放映している?!ゆめタウン出雲のT・ジョイ出雲まで車を走らせた。
21時30分開始、終了は24時を大きく回るレイトショーだったが、レイトショーなのに割引いっさいなく、2000円。
さすが客の入りは6割。島根的には多い。

まず、結論から。
90点!
ここ数年で最も衝撃を受けた。
2Dなら、60点の映画だが、3D映像で30点の追加。
アミューズメントパークのアトラクションがずっと続く感じ。
そのくらい映像が革新的であり、そこを非常に高く評価する。

まず、3D映像の評価。
3Dは切り絵が字幕の場所を中心に何重にもなっている感じ。
若干不自然な感じで浮き上がってくる。
まだ改善の余地はあるだろう。
しかし、迫力は段違い。
これだけの長編映画でチャレンジした勇気を讃えたい。
眼鏡は、視野角の広い大きいのを用意した方が良い。
僕自身小さい眼鏡だったため、隅の方の映像が再現しきれなかった。

コンピュータグラフィックスも非常に良くできている。
放映が始まって一時間位したら、すっかり異星人に慣れた。
「美人は三日で飽きる、ブスは三日で慣れる」なのか。

ストーリーは、完全な「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(Dances with Wolves)や「ラストサムライ」系列で新鮮味は全くない。
最後の結末のアクションはもっと簡潔にまとめた方が好み。
この映画でストーリーは完全に終了しているため、大ヒットしたという理由で「アバター2」が出たら、とってつけたようなダメダメ映画になる可能性極めて大。

アバター公式サイト↓
http://movies.foxjapan.com/avatar/
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朝令暮改の発想 鈴木敏文著 [BOOK]

新潮社、2008年1月発売。

セブンイレブン、イトーヨーカドーを今の地位に押し上げた第一人者、鈴木敏文さんの本。
いろいろと印象的なことが書いてあり、付箋だらけになってしまった。

①「あるべき姿」を求めて絶えず、挑み続ける。それが絶対の追求です。(p.55)
②(経営者は、)「顧客のために」ではなく、「顧客の立場」で考えられることで、売り手側の勝手な思い込みや決めつけから抜け出すことができる。(p.61)
③誰もが初めは持っている純粋さをどこまで延ばし、成長させることができるか。これこそ経営におけるいちばんの真髄ではないかとわたしは思っています。(p,72)
④ものごとの本質とは、いわばゴルフクラブのスイートスポットのようなものです。そこにボールがあたれば、同じ力で最大限の飛距離が得られます。(p.76)
⑤いかに相手の自発性を引き出し、本来持っている潜在能力を活かせるか、こうした説得ができることが真のコミュニケーション能力といえるのではないでしょうか。(p.100)
⑥膨大な人数の顧客と日々向き合いながら実感する最大の特徴は、わがままで多くの矛盾を含んでいることです。(p.109)
⑦ビジネスの世界で挑戦するとは、まさに自分で仮説を立て、実行していくことであり、仮説を立てない人は仕事をする気がないのと同じであると肝に銘じるべきでしょう。(p.123)
⑧消費の最前線に立ち、ダイレクトに顧客と向き合っているわれわれから見ると、日本ほど「画一化」が進んだ国はありません。・・・ある時点でとらえると、特定の商品に人気が集中する画一化意外の何ものでもありません。・・・日本人の経済的、文化的な特性は、日本独特の画一的な消費パターンと無縁ではないと思われます。(p.131)
⑨いまは一気に売れ行きが立ち上がり、ピークに達したかと思うとすぐにピタッと売れなくなる「茶筒型」へと変わっています。
⑩マスコミはよく、コンビニが次々と店頭の商品を短期間で入れ替えるため、商品の短命化をもたらしている元凶であるかのようなとりあげ方をします。しかし、もしコンビニが商品のライフサイクルの決定権を持ち、次から次へと売れ筋商品をつくることができるなら、これほど楽な商売はないでしょう。実態はその反対で、コンビニは画一化と茶筒化が進む顧客ニーズの変化に歩調を合わせ、売れ行きが落ちて死に筋となった商品はすぐに店頭から排除し、新しい売れ筋を一気に投入しないと経営そのものが成り立ちません。(p.134)
⑪一歩踏み込んで挑戦すれば、当然、リスクをともないます。しかし、爆発点はリスクの向こうにあることを忘れるべきではありません。(p.142)
⑫本当に人を増やせば、よい仕事ができるのでしょうか。その前に考えるべきは、なぜ仕事量が多くなってしまうのかという根本的な問題ではないでしょうか。・・・もし、仕事量が多くて大変ならば、今の仕事のやり方を前提にしたまま、増員を求めるのではなく、その前に仕事のやり方そのものを根本から変えさせ、無駄をなくし、本質的に必要な仕事だけに絞り込んで生産性を高めていくことです。とかくありがちなのは、「仕事が忙しいのは人が少ないせいだ」「人が仕事を押し付けるせいだ」などとグチをいいながら、自らをかえりみようとしないことです。これではいつまでたっても問題は解決されず、一生忙しいまま仕事をすることになるでしょう。(p.171)
⑬新しい企画を発案したらすぐにトップマネジメントの判断を仰ぐべきで、その後で関連部門に対して情報の共有化を図ればすむ話です。新しい価値を生まない無駄なプロセスは極力排除すべきです。(p.175)

コンビニエンスストアという現代そのものの業態を作り出し、激烈な競争下で戦っている厳しさが伝わってくる内容だと思う。
無駄な手続きの排除(⑬)は全くその通りだと思うし、人の力を引き出すコミュニケーション力(⑤)は全くEQの「共鳴」と同じ考え方であり、僕自身の考え方にもピタッと合う。
ただ、正直共感できない部分が多々ある。たとえば、④ゴルフのスウィートスポットは一見「レバレッジ・ポイント」のようだが、鈴木さんはあくまで売れるという意味で「本質」と言っているだけであり、それが社会にどのような影響を与えるかまでは、考えた意見には聞こえない。「レバレッジ・ポイント」は社会全体にどのような影響を考えるかであり、根本的に相いれない。
また、商品サイクルの話(⑩)にしても、セブンイレブンの24時間営業にしても、人の欲望に合わせすぎたために、少なくとも働く人のリズムを壊しているし、そういう欲望に合わせるのが企業や公共機関の役目という度が過ぎた消費者心理を生む一方、社会のために貢献したり、他人のために少しは我慢するという心理を減退させているのではないか。
人の配置(⑫)については、一流の人ならそういう態度を持った方が良いという意味では共感できる部分もあるが、付いていけず精神的に追い込まれる人を大量に生み出し、社会がゆがむ危険を感じる。
もっとワークライフバランスを重視した経営が望ましい。
正直、こんな合理性一辺倒かつどのような社会を目指すビジョンのない考え方で経営される会社では働きたくない。


朝令暮改の発想―仕事の壁を突破する95の直言

朝令暮改の発想―仕事の壁を突破する95の直言

  • 作者: 鈴木 敏文
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 単行本



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実践EQ 人と組織を生かす鉄則 リチャード・ボヤツィス、アニー・マッキー著 [BOOK]

田中健彦訳。
日本経済新聞社、2006年9月発売。

EQ(Emotional Intelligence Quotientの略)は「感情知能(心の知能指数)」とも呼ばれる開発可能な能力。
一般的に知られているIQ(Intelligence Quotient)に比べて後発で、日本では1996年にダニエル・ゴールマンの訳本が80万部売れて一気にメジャーになった。
僕自身、EQ本を読むのは10年以上ぶりだ。

この本は、優れたリーダーになるためには、どんなEQスキルが必要なのかということを中心に書かれている。
「リーダーにもっとも大切なのは、どんな知識があるかではなく、知識をいかに使うかという点だ。ここにEQが登場する。・・・自己認識と自己管理を育てれば、自己の強みをフルに活かして感情を管理し、それぞれの目標への情熱的なコミットメントを作り出すことができる。そのうえ、他人を理解できるようになれば、もっと効果的に一人ひとりをやる気にさせ、グループやチームや組織の文化を生み出すことが可能になる。」(p.46)

僕の理解したエッセンスは以下の通り。

①良いリーダーシップとは、他者を「共鳴」させ、それを持続拡大できること。
②困難な状況に陥った時、逃れようとするのではなく、「希望」を持って正面から取り組み、前向きな雰囲気を作り出す。
③他者と環境の状況について深く洞察し、その中で自分のすべきことを意識し、他者の感情と心を知り「思いやり」をもって接することで、他者を「共鳴」させる。
④自己犠牲と再生のサイクルを知り、完全にコントロールすることで、「共鳴」を維持させる。

訳者のあとがきに書いてあったが、ある程度の社会的立場にある人はたいてい他者を「共鳴」させられるが、そういう人でも多くの場合他者の「共鳴」状態を維持できない。
リーダー(管理職と言っても良い)としての成否は、いかに他者を「共鳴」させ、持続拡大できるかにかかっている。
小さなグループでは、「共鳴」の持続拡大ができたとしても、環境が変わったり、より責任を持つと話が変わる。
自分にストレスが強くかかり、他者を「共鳴」させることができなくなり、自分が抱え込んでしまってますますストレスをため込み、自己犠牲サイクルから脱出できなくなる。
こういう例は枚挙にいとまがない。

ストレス耐性がある人は「特別な遺伝形質や性格を備えているわけではなく、意識を傾注したり希望や思いやりをもつなどの内面活動に積極的にかかわることで、継続的に再生していることがわかっている。つまり、再生を生活の一部にしているから、大した努力が必要ない」(p.97)だそう。
他者や自分に対して「思いやり」を持つことを職場でも私生活でも取り入れるということができれば、最高だ。
これは心がけて見ようかな。

「希望」と「共鳴」と「思いやり」
と、まとめてみる。


実践EQ 人と組織を活かす鉄則―「共鳴」で高業績チームをつくる

実践EQ 人と組織を活かす鉄則―「共鳴」で高業績チームをつくる

  • 作者: リチャード ボヤツィス
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 単行本



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竹中平蔵、中国で日本経済を語る [BOOK]

大和書房、2008年5月発売。

竹中平蔵元総務大臣。
数年前まではずっと時の人だった。

竹中さんが中国の北京大学で特別講義をまとめたのが本書。
日本経済発展のメカニズム、バブル崩壊、郵政民営化、官僚、中国は日本の脅威かなどをきわめて明快にわかりやすくまとめている。
竹中さんは、サミュエル・スマイルズの自助論を地で行く経済学者であり、だからこそ、アメリカ・グローバル資本主義の手先だと批判も浴びてきた。
頑なに自分の理論を貫く学者魂を感じる。

経済学をきちんと学んだことがないため、基本的な解説が特に勉強になった。

①資本の生産性について
高度成長期の日本は、資本の生産性が高かった。100万円設備投資で、100万円の生産を生み出していた。GDP比で10%を設備投資が占めていたとして、成長率で10%近い寄与があった。
今の日本は、労働力と機械といった、生産に直結する直接的な設備投資ばかりだった時代と異なり、安全性、環境や福利厚生といった間接的な設備投資が大半を占めていて、資本の生産性が低い。GDP比で5%を純粋部分の設備投資があったとして、成長率で2%くらいの寄与しかなくなっている。(P.39~40)
先進国になるということは、非効率的な部分(価値観的には重要だが)に投資をしていくということであり、それが経済成長を鈍化させているんだな。

②ナイトの不確実性(p.58)
「これから先どうなるかわからないという不安があると、人は最悪のケースを想定して行動する。」
企業間取引における信用崩壊(ディスオーガニゼーション)で産業組織が崩壊するのとならんで、バブル崩壊後に日本で大きくはびこっていた。
不景気はいろいろなものを壊していく。

③銀行はなぜ「特別」か(p.75)
「銀行は『預金』という決済インフラを持つという意味で、特別な機関」
すなわち、給料、公共料金、クレジットカードの買い物料金の引き落としをするインフラが崩壊することは国民生活に直結するため、是が非でも守らなければならないということ。

④戦略的アジェンダ(p.137)
ボーリングのセンターピン。
ここに当てられるかどうかが政策が成功する鍵。
誰もが理解できて目に見える政策であり、かつ波及効果が期待されるもの。
レバレッジポイントとかなり近い考え方だと思う。
まず見つけられるかどうかが成功の分かれ道。
これは、マッキンゼーの成長戦略で触れた成長機会の把握がうまくいくかどうかが成功の最大の分かれ道というのとも同じ。

⑤日銀のマネーサプライ(p.186)
日本銀行のマネーサプライの伸び率は他国と比べて低く、それがデフレを引き起こしており、日銀はどんどん国債を購入してマネーサプライを増やすべきと主張している。
つい先日デフレ対策としてマネーサプライを伸ばしましたね。
竹中さんの言う通りということなのでしょうか。

⑥年金は実は保険(p.193)
「『歳をとったら自動的に生活費をもらう権利が生じる』といのは、日本人の多くが抱いている幻想」、人生設計は自助自立して立て、年金はあくまでリスクをカバーするものと断言。
一方で、すでに当てにしている人たちが多くいるので白地のキャンパスというわけにはいかない政治問題とも指摘。

竹中さんの理屈は非常に筋が通っていて分かりやすい。
自助自立は第一原則だし、とても重要だと思う一方で、それを認めることが格差拡大につながっている面は否定できず、その辺が自分の中で受け入れきれないところ。
自助→共助→公助は間違いないけれどもそれをどのタイミングでどの程度出してくるのが一番良いのかということで意見は分かれる。


竹中平蔵、中国で日本経済を語る

竹中平蔵、中国で日本経済を語る

  • 作者: 竹中 平蔵
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2008/05/23
  • メディア: ハードカバー



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