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1998年夏トルコ・ギリシャ・北キプロスの旅⑥謎の巨大石像ネムルトダー [TRIP]

キノコ岩で有名なカッパドキアは、噂にたがわぬ迫力だった。
9月に入ったカッパドキアは空いており、安くて程よいホテルが簡単に確保できた。
水シャワーだったのが、たまに傷ではあったが。
観光地としても、イスタンブールと互角なくらい洗練されている。
日本人が観光客で最も多く、興醒めした。
あれだけテレビで紹介されていれば、無理はないか。

カッパドキアから、ネムルトダーを目指した。

ネムルトダーは2000メートル以上の山の頂上にある王墓。
すぐ近くのカフタという田舎町を拠点として目指した。

ここは本当に田舎だった。
僕が町を歩いているだけで、後ろを付いて来るガキども多数。
僕がレストランでご飯を食べているだけで、すぐに僕の周りに十数人集まってちょっかいかけてくる。
よほど珍しいようだ。
男にキスをされたりしてブルーになったこともあった。
「ゆっくりさせてくれー」という感じ。

雑貨屋のオッサンにつまえられて出会って五分ぐらいで。
「俺たちは友達だ。だから日本のパソコンを売ってくれ」
などというむちゃくちゃな要求をされたこともあった。

そういう僕も、彼らが興味を示した昔中国上海で700円ほどで買ったボロ時計を「日本では大ブーム」と嘘八百。
この時計はグルグル振り回すと「キラキラ点滅」するオモチャのようなチャチイもの。

これが、カフタのトルコ人には大ウケ。

初めて見せた次の日には、街の噂になったよう。
レストランに僕を見に来る人は、大人も多数来て数十人に膨れ上がっていた。
そして、僕がグルグル振り回す度にその数十人ははそのキラキラ点滅する時計を見て大歓声を上げていた。
何か宇宙人になった気がした。

ちなみにあの渋谷東急ハンズで、この時計と全く同じものが約4000円で売っていた(笑)
結構、ハンズも、胡散臭い物を売っていると思った。

目的地のネムルトダーはカフタの町から3時間もかかる辺境の場所。
当然ツアーを利用するしかないので、朝日を浴びた石像を見るツアーの交渉をした。
薄気味悪い笑顔で手招きをする胡散臭いオッサンと交渉を試みたが、あまりにたちが悪いので激突した。
ほとんど喧嘩状態。

結局、言い値の4分の1。
だまされていた他の日本人にもこのオッサンの言い値はおかしいことを教えたので、
オッサンに「おまえは性格が悪い、嫌いだ」と言われた。
あんたの言い値がひどすぎるだけだって。

ネムルトダー自体はすばらしかった。
朝日が頂上の石像に角度を変えて当たることで石像の顔が変わるのだ。
怒っているように見えたり暗い表情をしているように見えたり。

結構これはおもしろい。
朝日自体もきれいだったし。

NEMURU.JPG

トルコでの移動はあまりに激しく、毎日のように長距離バスだった。
宿代を浮かせる意味もあり、夜行バスに泊まることもしばしばだった。
結局、15か所を超える都市を回った。
基本はレンタサイクルし、できないときは徒歩とバスで移動した。
すさまじいまでの駆け足巡りだったと思う。

トルコ人はひとなつっこい人が多かった。
いろんな人と会った。

イスタンブールからアダナに向かう途中、トルコ人の5人のお子さんを連れたお母さんから、食べ物を恵んでもらった。
決して裕福そうには見えなかったが、僕がそれ以上にあまりにも貧乏な格好をしていたせいだろうか。

黒海に面したトラブゾンでは立身出世に燃える青年に町を案内してもらった。
お土産にもらった桃を食べて、おなかを激しく下し悲惨な目にもあった。
長距離バスの中で激痛を覚えたので、トルコ語ができない僕は本当にピンチだった。
「地球の歩き方」の「痛い」というトルコ語と僕のお腹を指さし、バスを止めてもらった。
「旅の恥はかき捨て」というが、さすがに今でも恥ずかしい。

昔の街並みがきれいに残り世界遺産に景観が指定されたサフランボルではビール瓶を持った少年二人組に写真を撮って送ってくれとせがまれた。
「写るんです」だったので、「紙でできているのに使えるの?」と驚いていた。

バス停でバスを待っていたら、酔っぱらったおじさんにたばこを勧められたが、断ったら、無理やり煙草を口に入れられて吸わされた。
たばこはそれまで吸ったことがなかったので、本当に驚いた。

トルコ中部のバスターミナルでは、「われわれは、アジア人じゃなく、ヨーロッパ人になりたいんだ。」と力説する青年にも会った。

そういう出会いが僕を少しずつ成長させてくれた。
いきあったりばったりだからこそ出会えた人ばかりだった。

数年後、トルコ大地震が起きた時、社会人一年目だった僕は本当に心ばかりではあるが支援金を出したのだった。

「トルコ・ギリシャ編 終」

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